「住宅ローン完済年齢上昇 平均73歳、年金生活安定せず」日経新聞朝刊に少しだけ異論
定年退職後も住宅ローンを返済し続ける高齢者が増えそうだ。日本経済新聞が住宅金融支援機構のデーターを調べたところ、2020年度の利用者が完済を計画する年齢は平均73歳と20年間で5歳上がった。借入時の年齢や金額が上昇しているためだ。70歳まで雇用が継続されても年金生活は不安定になりかねない。貸し手も老後リスクを吟味する必要がある。
2020年10月5日の日経新聞朝刊1面に掲載された冒頭部分
Sumai-pro編集部です。上記の2020年10月5日の日経新聞朝刊1面に掲載された内容について少しだけ異論です。
社会問題のように取り上げたが、、。
日経新聞のこの記事は貸し手、つまり住宅ローン取り扱い金融機関や住宅金融支援機構(フラット35)への警笛として書かれた文章です。日経新聞が引用した住宅金融支援機構のデーターは誰でも見ることができるように住宅金融支援機構が公表しています。
完済を計画する年齢は平均73歳と20年間で5歳上がった。借入時の年齢や金額が上昇しているためだ。70歳まで雇用が継続されても年金生活は不安定になりかねない。
まるで社会問題のように朝刊の1面に取り扱われてしまいました。
少しだけ反論・異論させてください。
また日本経済新聞紙面では、定年退職後も住宅ローンが残る方への解決策の提示もなかったので、こちらは別ページにてまとめました。
定年退職後の住宅ローンの返済に不安がある方は併せて読んでいただけますと幸いです。詳しくはこちら≫≫
本当に完済年齢は上がったのか?
2020年10月5日 日経新聞朝刊1面には「2020年度の利用者が完済を計画する年齢は平均73歳と20年間で5歳上がった。」とありますが、本当にあがったのでしょうか?
Sumai-pro編集部の見解としては
「銀行が定年退職後も返済する計画の住宅ローンを嫌っているため、そして若い世代が他の金融機関を選んでいるため、住宅金融支援機構(フラット35)の利用者が高齢化している」と考えています。
つまり、
- メガバンク/ネット銀行が定年退職後住宅ローンを嫌っている。
- 若い世代が他の金融機関を選んでいる。
そのため、住宅金融支援機構(フラット35)の利用者が高齢化していると考えるのが妥当かと日経新聞さんへの異論です。
・メガバンク/ネット銀行が定年退職後住宅ローンを避けている。
団体信用生命保険に病気や疾患で入れなけば住宅ローンが組めないなど、住宅ローンは本来若い人が組むことを想定された設計をしています。
詳しくはこちらにも掲載しています。
メガバンク/ネット銀行が若い人向けの設計を変えないのは、つまり高齢者向けにも住宅ローンを使いやすいように設計しないのには定年退職後住宅ローンを避けているのだからではないでしょうか。
「定年退職時の確認書」
例えば、某メガバンクでは定年退職後まで支払いが発生する計画で住宅ローンを申し込みをすると「定年退職時の確認書」を提出を依頼されます。
依頼と言っても提出を拒否すれば、審査は止まり、住宅ローンの返答は否決となります。
その「定年退職時の確認書」には定年退職時の退職金予定額、年金額などの他に、定年退職時に繰り上げ返済をいくらするか?を決めなければいけません。
そして全て記入の上、署名・押印させられます。
若い人にはそんな書類はありません。
若い人がフラット35を利用が減っている。
若い人はネット銀行やメガバンクのメリットを享受しやすいためフラット35を選んでいないことが考えられます。各金融機関はさまざまな住宅ローンに魅力的な特典を広げています。
魅力的な特典 代表例)
- ソニー銀行 Sony Bank WALLET がん50%保障特約付団信無料付帯
- イオン銀行 イオングループでのお買い物が5%オフ
- みずほ銀行 固定35年 金利0.99%(2020年10月適用金利)
- りそな銀行 団信革命(特定状態保障特約付住宅ローン)
フラット35を利用しなくて比較検討し、魅力的な住宅ローンが多い。
そのためフラット35を利用しなくなっています。
そのため、住宅金融支援機構(フラット35)の利用者が高齢化している。
“完済を計画する年齢は平均73歳と20年間で5歳上がった。”
2020年10月5日の日経新聞朝刊1面
このデータは日本経済新聞が住宅金融支援機構のデーターのみを調べたデータだけでは、住宅金融支援機構(フラット35)の利用者が高齢化しているのであって、「住宅ローンを組む人が全員が高齢化している」社会的問題が発生したのではない。
少しだけ異論・反論させていただきました。
Sumai-pro編集部が言いたかったのは以下のこと
日経新聞が紙面で言ったように社会的問題が発生したわけではない。定年退職後の住宅ローンの返済は甘く見るべきではありませんが、恐れる必要はない。
・老後を過ごす住宅の長期修繕計画といったメンテナンス費用の概算を、修繕のプロや建築のプロに依頼してみて。
・定年退職時に自らの住宅ローン残高を調べ、年金額など収入を確認して、返済率(年間返済額÷年間収入)が無理していないか。FPや住宅ローン窓口に相談してみて。
定年退職後の住宅ローンに振り回されることのないようにお近くのプロに相談して準備して住宅ローンの支払いとメンテナンス費用を合わせた住居費を長期的にコントロールしましょう。
きっと住まいのプロたちは力になってくれるはずです。