2021 3 20

林業・製材・プレカット加工|グッドデザイン賞受賞の山長商店を体感

今回Sumai-pro編集部が、和歌山県田辺市の山長商会さんでの勉強会に参加した際に教えていただいた内容をまとめたものになります。

木の魅力が再発見されている近年、私たちも一から勉強するべく貴重な体験をさせていただきました。良質な木材を安定的に提供しようと取り組んでおられる和歌山の山長商店さんを始めとする林業家たち。

今回柱や梁など家の構造を支える木材になるまでをまとめました。
みなさまの身の回りにもある木についてほんの少しでも情報提供できましたら幸いです。

伐採 ▷ 搬出 ▷ 造材

伐採 ▷ 搬出

勾配が急な紀州の山々。作業道の開設などが難しい。
伐りだしたワイヤーを使った集材システムが取り入れられ、原木を「架線集材方式」で林道端の「山元土場」まで搬出。
強力な集材機の音が山々にこだまするなか木が運ばれてきました。

 

造材

重機の先につけた林業機械プロセッサーにて枝葉を払いながら林業上の基準に従って適当な長さに伐っていく。圧倒的な力強さに感動します。

 

皮剥き ▷ 製材 ▷ 乾燥

皮剥き

丸太(原木)の皮をむいていく作業です。
剥かれた皮はその他の製材工程で排出される樹皮・おがくず等とともにバイオマス燃料として木材乾燥の際に再利用されます。

廃棄を減らし、エネルギーロスを極力減らす試みられています。

 

製材

動画内容は一次製材と呼ばれる作業で、仕上がり寸法よりも丸太を少し大きめに四角く加工。

木材を真っすぐ挽く事は容易ですが、真っすぐで曲がらない木材を挽くことは非常に難しく、高度な製材技術が要求されます。
職人が1本1本、素材の「癖」を瞬時に見極め、更に自動製材装置が高い能力を発揮し良質な材を作り上げています。

 

乾燥

木には多くの水分が含まれています。
杉や桧といった針葉樹は伐採された直後の含水率は100%を超えていることもしばしば。つまり、伐採された直後の含水率100%の100㎏の木は50㎏の木と50㎏の水分でできているということ。

このまま使用してしまうと自然乾燥する過程で変形・収縮をしてしまい、曲り・反り・割れが生じてしまいますので、JAS規格の20%以下にまで乾燥させる必要があります。

乾燥には樹皮・おがくず等をバイオマス燃料を使用した高温蒸気式減圧乾燥機を使用し、木へのストレスを減らすため最大0.2気圧まで減圧することで、水の沸点を下げることが可能となり、低い温度での乾燥を可能にし、木の劣化や内部割れを抑えます。

 

品質管理▷含水率・強度測定▷プレカット加工

品質管理

乾燥された木材はモルダー仕上げと言う作業を経て0.1mm単位の精度で加工。その後、職人によって1本1本目視検査を行い、割れ、反りなどの不具合をチャック。

職人によるチェックの厳しさは相当なもので、次の検査に進めない木材が多いことに驚きです。

 

含水率・強度測定

マイクロ波含水率測定器を利用した含水率のチェックと動的ヤング係数測定器を利用した強度を測定。

JAS規格 機械等級区分構造用製材の含水率基準では15%・20%以下となっているため、動画内の測定では動的ヤング係数測定ではE90と強度については合格していながらも含水率は22.5%とJAS規格含水率基準に適合していないので、「NG」と表示されてしまい、この木も不合格だったようです。

 

厳格な品質管理と測定を通り抜けるほんの一部の選ばれた木材だけが山長ブランドの木材「山長商店JAS製品」として出荷される。

合格品には日本農林規格(JAS)に基づいて、ヤング係数による機械等級区分強度と含水率、樹種、寸法等を表示するだけでなく、どこで伐採された木材であるか を示す木材表示推進協議会(FIPC)の認証マークを付け、紀伊半島産の産地表示を行い、一本一本には全て異なるシリアルナンバーが記載されていました。

 

プレカット加工

品質検査に合格した木材を熟練職人の目利きによってさらに選別し、建物のどの部分に使用するのが有効なのかを選別する工程を経て、プレカット加工の工程へ。

平成22年9月に一新した最新鋭プレカット設備によって羽柄材加工、合板加工、無垢材にも対応した金物工法の加工も可能としています。

工場内に大工職人さんがおられ、プレカット加工ではできない複雑な加工なものを加工されてました。

 

まとめ|新しい循環型モデルを実現
2013年度グッドデザイン賞受賞

・山長商店さんが木材流通の主な部分を一貫した自社体制を構築し、妥協のない優れた国産材(紀州材)をもっと生み出していこうとしていること

・その品質で「無垢材は品質が不安定」と言った定評を覆そうとしていること

・その材が工務店の妥協のない家づくりに使用されることで、地方と都市を木材を通した良い循環を創りだそうとしていること

これらの試みは約200年にわたって紀州の森守り、意識の高い工務店との強いつながりを持ち続けた山長商店さんだからこその挑戦権を持つ試みだと気づかされる今回Sumai-pro編集部が体感でした。

 

世界中がグリーン化に加速するなか、日本の国土の67%を占める森林を支える林業は今まで以上に期待される産業へと変わっていくと想像することは難しくない。

しかし、それは今だから想像できるのであって、山長商店さんがこの試みで2013年度グッドデザイン賞を受賞された際に「地球温暖化防止に資するシステムである。」と定義している点は注目するべきではないでしょうか。

 

「地方の森が都市の市民を守り、都市の市民が地方の森を育てる。」

この理念の下、高品質な紀州木材を通した循環型社会の実現へ
今日も「木」と「木との関係」が育まれています。