和歌山の木・紀州材の特長 | 山長商店
今回Sumai-pro編集部が、和歌山県田辺市の山長商会さんでの勉強会に参加した際に教えていただいた内容をまとめたものになります。
木の魅力が再発見されている近年、私たちも一から勉強するべく貴重な体験をさせていただきました。
良質な木材を提供しようと取り組んでおられる和歌山の山長商店さんを始めとする林業家たち。
次世代での安定供給をめざし、杉・桧の残存本数は林齢別でほぼ理想値になるよう紀州の林業家たちは世代を超えて山を守ってきました。
みなさまの身の回りにもある木についてほんの少しでも情報提供できましたら幸いです。
和歌山の木・紀州材の特長
和歌山県山林の多く(約95%)が民間が所有する民有林と全国的にも珍しい土地柄。民有林が多かったことが、いわゆる「業」や「商い」という面での林業技術の向上につながり、現在の高品質な紀州材を創り上げたとも言われています。
強く美しい紀州材 施工例
- 色合いが良く、つやがでる
- 目合いが良く、素直な木で狂いが少ない
- 強度・耐久性に優れている
【施工】
神奈川県 K建築工房 様
【施工】
愛知県 S建築 様
【施工】
東京都 A建設 様
【施工】
埼玉県 K 様
別ページに山長ブランド紀州材を使った建築事例をご紹介しております。
併せてご覧になってください。
https://yamacho-net.co.jp/category/gal/
・優れた木を植える。|実生(みしょう・みばえ)
優れた木を植えるために山長商店では優れた木の種をとり、実生(みしょう・みばえ)から苗木に育て、植林する。手間のかかる方法ですが、種から育った杉や桧の根は地下深く深くと地上部とは逆に下へと向かっていきます。
勾配のきつい和歌山の山では目合いが良く、素直な木で狂いが少ない優秀な木が集められた精鋭樹林の木の種をとり、実生から育てられた直根と呼ばれる自然な根を持つ優れた木に育っていきます。
・紀州は「挿し木」ではなく、実生を選んできた。
植林する方法は他にも、「挿し木」と言う方法もあるのですが、
挿し木では土壌中に浅く広がるように発達します。つまり、根が下に伸びにくく、台風などの風により木が倒れやすい問題があります。
挿し木樹木と呼ばれる「挿し木」による植林は、近年の土砂災害などの遠因にもなりえます。
和歌山の険しい山には合わないと判断した先人たちの知恵は今も守られています。
険しい山で広葉樹をスギ・ヒノキに植え替えた。
伐り出されている杉や桧は現地でアナウンス頂いた山長商店の田上さんのお父さんが植えた杉や桧。約70年前に広葉樹を切り倒し、多くが建築用材のスギとヒノキに植え替え、当時を想像し、険しい山を人力で切り拓け、次世代に残した苦労を感じずにはいられません。
当時、伐り出された広葉樹の樫やウバメガシなどは山の炭小屋で紀州備長炭にされたとのこと。
「春には新しい苗木を植林する。」
と田上さんが仰っておられる言葉にはおじいさんの姿を重なったのは、私一人ではなかったように思います。
この山々も広葉樹から針葉樹(杉や桧)に植え替えられ、世代を超えて山を守ってきた。そして未来にわたって高品質な木材を安定供給するため、、紀州の林業家は林齢別でほぼ理想値になるよう世代を超えて山を守っている。
・次世代に引き継ぐ“理想の山の姿”
木を植え、育て、伐りだし、届ける。
言葉に言うは易し、実際に行うのは何世代も受け継ぎ、未来へ託す仕事。
気が遠くなるような木との付き合いの中で紀州林業家たちが、健全な山を守ってきたことを示す資料があります。
植林や育林をやめていればどこかの世代がつなぐことができなくなる。
10年後、20年後といった近い将来だけでなく。60年後、70年後といった遠い将来まで計画的に行うことで、世代を超えて紀州林業を守ってきた。
そんな証が上記のグラフには書かれています。
西暦2100年のその先も見すえた戦略がこの紀州にはありました。
木のこぼれ話 『トガ』
和歌山では栂(マツ科ツガ属)のことをトガと呼ぶらしい。
トガとは罪人をくくり付ける木として呼ばれたことがそのはじめらしく、杉や桧など神聖な木として扱う和歌山の木への思いの一端が垣間見える。
木のこぼれ話 ミミズ
一般的に日当たりが良いところのほうが植物はよく育ちます。
しかし山では少し話が違ってくるらしい。
南向きの日当たりが良すぎる山はミミズが少なく、土壌改善が進まないため一度木を切ると次の木はよい木材にならないらしく、南向きの山は木にとっては過酷な環境だということ。
ミミズが育ちやすい山では何度も優良な木が育つらしい。
小さなミミズが木の価値、そして山の価値まで変えてしまう。
ミミズとあなどり難し。